インタビュー記事は、書籍、雑誌、ホームページなど媒体をとわず、キラーコンテンツになります。その人物の声がすなおに語られていると、掲載された媒体自体の魅力度がかなり高まるはずです。話し言葉で書かれていますから、読み手はどんどん引き込まれていくでしょう。
ただし、このページをご覧のみなさまは、インタビュー記事作成において何らかのお悩みをかかえているはずです。
「広報部に異動になった。インタビュー取材記事作成を命じられた」
「インタビューをした経験なんてない。はじめてだ」
「小見出しやキャッチフレーズのつけかたは?」
「そもそも、取材の仕方がわからないぞ!」
といった不安にさいなまれている方は意外とおられます。当社は代筆の専門会社であり、さまざまな種類のインタビュー記事を作成してきた豊富な経験があります。
インタビューのやり方、記事作成&台本作成に悩むみなさまの助けになればと願い、現場で得たインタビュー取材のノウハウを、基礎から応用まで、順に述べておきたいと思います。
わたしたち執筆のプロがどのようなテクニックを駆使しているかご理解いただけます。
そして最後に「それでも自分で書くのは無理だ」「ゴーストライターに依頼したい」という方のために当社の説明をさせていただきました。
目次
1.インタビュー前の準備
2.取材現場での注意点
3.記事執筆のコツ
さいごに
1.インタビュー前の準備
インタビュー取材記事の「目的」
まずインタビューの目的を検討し、はっきりさせます。
その目的とは、記事を読んでもらった読者の人に「どのような行動」をとらせ「どのような思い」をもってもらうのか、です。でないとどんな「美文」であれ、そのインタビュー記事は成功したとはいえません。
目的がはっきりすると、対象者(インタビュイー)に対する質問が適切なものになります。また記事執筆のうえで、構成の方向性がさだまります。
仮に「A社長のインタビュー取材」があるとします。経営トップ系のインタビューには、いろいろな目的があると思います。「社長の経営理念を、全社員に知らせ統一する」「社長の創業時の話を知ってもらい、社の歴史に対する理解をふかめる」「新卒のリクルートのため」などじつにさまざまです。
そこをはっきりさせないと、有意義なインタビュー取材がおこなえないでしょう。
また、あなたがインタビュー記事作成の依頼者、発注者ならば、ライターにはその「目的」をはっきり伝えておかねばなりません。でないと、書き直し指示など、いらぬ手間が生じます。
逆に、あなたがライターの立場であり「社長のインタビュー記事を作成しろ」とあいまいに伝えられたならば「その記事の目的はなんですか?」と依頼者に問い直す必要があるということです。
インタビュー取材前の「下調べ」
料理のコツは何でしょうか。食材の選び方であったり、下ごしらえであったりします。同じことがインタビュー取材にもあてはまります。それが対象者への下調べです。
下調べは、簡単です。まずはググりましょう(笑)。
本人のSNSでは、出身地、生年月日、趣味、家族構成など基本データがわかるはずです。ほかにも、Webや雑誌のインタビュー記事などが見つかれば、大いに参考になるはずです。
また大手新聞の過去記事が一括検索できるサイトなどもあります。
もし取材の際、A社長が「取材目的に沿った大切なエピソード」を話し忘れていたとしても「そういえばA社長は、当社の主力商品Xの開発時に画期的なアイデアをだされたのですよね」というように話題をふれることができます。
すると「そうそう。あのときは本当に苦労した。B副社長と一緒に徹夜つづきだったな。あまりにしんどいので2人で公園まで散歩にでかけとき、アイデアがふと浮かんだよ」というように目的に沿ったトピックスを話してもらえます。
振れる「ネタ」を事前に仕込んでおく──プロとアマチュアの「違い」がここにあります。事前の下調べによる「ネタ」はたくさん収集すればするだけ、当日にのぞむ不安度は減り、内容の濃いインタビューを演出することができます。
「質問」の準備方法
事前準備には、もうひとつ重要なものがあります。
「質問」です。
取材対象者(インタビュイー)とはどんな人物なのでしょうか。何らかの理由により「重要人物」であるはずです。重要であるからこそ、インタビューされる側にいるわけですね。
そのような人は、ほぼほぼ「忙しい人」にちがいありません。
となると取材時間に限りがあります。時間の有効活用という意味においても、あらかじめ「取材の目的」に沿った質問をいくつか用意しておくべきです。
以下、詳しく述べておきます。
質問は、箇条書きでかまいません。できればその項目を重要度順に並べておくか、それぞれの質問項目の頭の部分に、□のようなチェックボックスをつくっておきます。聞き終わればチェックマークを入れる確認用のためです。
テレビのバラエティー番組。そこでMCや司会者が聞き役となり、芸能人にいくつかの質問がなされる場面をみなさんも見たことがあると思います。もちろんその質問はあらかじめ「台本」に書き込まれ、用意されています。
なぜでしょうか。
その出演者の出演時間はかぎりがあり、番組の進行上、役に立つからです。みなさんのインタビュー取材も同様です。質問項目の羅列と、並び変えは、いわば取材時の台本ともいえます。
それでは、用意しておくべき質問の「数」はいくつぐらいが適切なのでしょうか。取材時間に関係なく、すくなくとも5〜10項目です。これで充分です。不安だからと、20〜30も用意する必要はありません。
質問内容がきまれば、つぎにどうすべきでしょうか。晴れて当日を迎えれば、いいだけでしょうか。違いますね。
それをインタビュイーに前もって知らせておきます。これが重要です。理由のひとつに、話し手側にも「どういうことを聞かれるのだろう」など多少の不安がありそれが解消されるからです。
また、重要人物であればあるほど、インタビュー経験が豊富な人物のはず。同じような質問は、これまで何度か受けている可能性が高いです。同様のインタビュー記事などを準備してくれる場合があり、書き手にとってひじょうに助かる「ネタ」になります。取材後の執筆時に大いに役にたつでしょう。
ただし、なかにはその質問に対して、当日、答えをテキスト化したワードを用意して手渡し「これで充分でしょ」と、早々に切り上げたがる人がいます。
そういった場合でも、動じずに「ご丁寧にありがとうございます。これをもとに、詳細をお伺いしていきたいと思います」と、さらに踏み込んでいく姿勢をみせるようにしましょう。遠慮はいりません。予定した時間いっぱい使いましょう。
取材場所は、取材対象者が話しやすい場所を準備しましょう。自社の会議室の予約などは、取材日時がきまった時点でそうそうに予約するようにします。
会社以外の場所の場合、適切でない場所は、ホテルの喫茶やファミリーレストランなど、他者の話し声がはいってくる可能性のある場所です。
適切な場所がみつからない場合、最近のネットには「会議室予約サイト」が充実していますから、そこで探してみるのもおすすめです。
ときにライター自身がかんたんな写真撮影を頼まれる場合があります。背景にゴミ箱、傘、段ボール、ハンガーなどが映りこまないかどうかも、確認します。むやみにカーテンやブラインドを開けてはいけません。逆光にならないかどうかもポイントです。
背景だけではありません。手元のコーヒーカップ、名刺、ペン、手帳、灰皿など不用意なものも端に移動するようにします。
せっかくなので撮影法にも簡単にふれておきます。基本は上・下・真ん中・左・右からの撮影です。合計5パターンとなります。これで充分ですが、時間に余裕があれば、さらに、上左・上右・下左・下右という組み合わせたパターンを撮影します。
撮影がヘタな人は「膝」を使っていません。すべて立ち姿勢のまま。これでは「上」からの撮影のみになってしまいます。片膝を床についてもかまいません。対象者の目線から「下」の写真には迫力がでます。
録音は、2台録音が原則です。おすすめは市販のボイスレコーダーとスマホ。筆者は、ボイスレコーダーの録音に失敗した苦い経験があります。取材中、メモをたくさんとるタイプだったのでなんとか事なきを得ましたが......。
また録音開始時には「録音させていただきます」とのご挨拶も忘れずに。便利なのはスマートウオッチです。アプリをワンタップするだけで、録音がはじまります。
スマートウオッチがあると、仮にボイスレコーダーやスマホのどちらかを忘れてしまっても、録音二台体制が維持できますし、建物の外などに移動しながら話を聞くといった状況もおこりがちですが、そのときにボイスレコーダーをもち「片手」が不自由になりません。
2.取材現場での注意点
インタビューのスタート時間になりました。取材対象者から「ライターさん。遠くからご苦労様」というような声をかけてもらったり「最近は暑いですね」というような天気の話題がもちだされたりすることがよくあります。
それらに笑顔で適当なあいずちを打つことは忘れないでください。無視して、いきなり本題に入るやり方は避けましょう。自然な場づくり、話しやすい雰囲気づくりにつながります。
また、先述した「インタビューの目的」を「○○という媒体において、読者の方々に△△を知ってもらいたいと思い、インタビューさせていただきます」と伝えることを忘れずに。
いきなり取材対象者が話しはじめたとしても、頃合いを見計らって、必ず伝えましょう。話の脱線をふせぐとともに、時間が効率よく使えるように意識が働いてくれるはずです。
もうひとつ重要なことがあります。時間の確認です。「取材時間は15時ちょうどに終了の予定です」と、終了時間を知らせておくことです。相手が忙しい場合、自分が忙しい場合、おたがいに助かります。
もちろん、話が想像以上にもりあがり、ともに時間が許す場合は「終了時間となりましたが、すこしばかり延長させていただいてよろしいですか」と断ったうえで続けてもかまいません。
質問のテクニック
取材時間が60分だとして、30分ぐらいで終わってしまう。できればそういった事態は避けたいところです。最低でも与えられた時間の3/4ぐらいは消化するのがお互いにとってもマナーです。じつは、話が詰まってしまわない取材の仕方、やり方がありますので、いくつか紹介しておきたいと思います。
まず取材がヘタな人の特長をあげておきます。正確な記事を書きたいあまりに、具体的なデータ収集にこだわりすぎることです。
たとえば先述の「A社長の主力商品開発」のエピソード。話し始めた直後「それは何月何日ですか? どこですか?」というような質問をしたくなることがあります。
でも。それはいったんお預けして、とりあえず流して、最後までお話してもらうのです。話の腰を折らない効果があります。
いつ、どこで、誰か、というような具体的なデータは、最後までいったところで、まとめて質問するか、後日メールなどで聞けばよいのです。
具体的データばかりの質問は、相手を閉口させます。さいあくのケースでは、単なる質疑応答にならなってしまいます。
「社長は今年で何歳ですか?」
「58歳です」
「ご趣味は」
「釣りです」
「休日の過ごし方は」
「自宅で音楽鑑賞です」
このような一問一答形式に陥るとかんたんに出口はみつかりません。なぜこうなってしまうのかというと「雰囲気づくり」を無視して「準備してきた」質問をしようしようとするからです。
おそらくそこには、焦りがあります。焦って、質問ばかりしようという姿勢は積極的な点において評価はできますが、それは取材における「主導権」を自分が握ってしまっていることになります。
取材は、あとあとよい記事を書くためのネタを得る場、ですよね。主導権をとると、相手から「しきりたがり」と認識され、嫌われます。まるでできの悪い鍋奉行のようで
「このタイミングで醤油とか入れるな!」とか命令されたらどんな気分になるでしょう。主導権の主張は最低限にとどめるよう意識しましょう。
ですから、用意した質問をどんどんいけばいい、という考え方は正しくありません。キャッチボールのような楽しい会話を心がけながらも、こちらが一方的な質問ばかりするようなってしまった、となると一歩引いて取材対象者の話を聞くようにしましょう。
ライターという職業は、取材をこなすだけでどんどん手慣れていきます。なので、質問に困ったときにどのように対処していくべきか、個人によってそれぞれテクニックをもっていて切り抜けることができます。
ですが、一般の方がはじめてインタビュー取材するようなシチュエーションだと、対象者とギスギスした雰囲気になってしまったり、準備した質問を出し尽くしてしまって困る、ことも起こり得ます。
プロのライターがもっている取材テクニックのひとつをご紹介しましょう。
「○○については、どうですか?」
と質問するのです。例を挙げましょう。わかりやすくなるので英会話例に取材ベタな人を紹介します。すぐに「WHAT」を聞いてしまうのです。
「What is this?」
「It's a pen.」
中学一年生の英語の教科書に載ってます。これはなんですか、ペンです、となり会話は終了するのです(笑)。では次の文はどうでしょうか。
「How do you use a pen?」もしくは
「How to use a pen?」
書類を書く、名札を書く、封筒の宛名書きにも使える、とか尋ねられた人はいろいろと教えてくれるはず。
もうお分かりですね。前項目で紹介したのと同じ論理です。相手が単純に答えて終わるような質問は、質問としてよくありません。プロのライターは「How」を使って質問を作り出していくのが上手です。
上手くないライターさんが、もうひとつやりがちな失敗例を紹介しておきます。それは何だと思いますか。
沈黙を怖がることです。
沈黙をなによりも恐れる──その心理はよくわかります。初対面の人にインタビューして盛りあがっていたのに、いきなり黙りこくってしまったら「何か変なことを言ってしまったのだろうか」と不安に思って当然です。
でもその認識はかならずしも正しいというわけではありません。
自分に置き換えて考えてみてください。他人との会話のなかで、あなたが黙るようなとき。それは「じっくりと考えている」とき、ではないでしょうか。
ふつうの人は「しゃべりながら考える」という器用なことはなかなかできません。黙っているときは、ライターからの質問に対して「よい答えを返したい」とおもって、じっくりと思考している状態のとき、だと言い換えるときができます。
そんなとき、いきなり次の質問がきたらその人の思考はさえぎられてしまいます。「あと10秒間待つことができれば、いい答えが返ってくる」のに、沈黙は相手が「嫌がっている」状況だと一方的にとらえてはいけません。
「沈黙は金なり」という言葉があります。質問したくても、しないほうがいい場面が、何度かあるはずです。恐れてはいけません。
そんなときインタビュイーの顔をじっくり見てください。何かを考えているようだとすこしでも思うのであれば、つぎの質問をすぐに投げかけず「じっと待つ」という選択肢があるということも覚えておいてください。
メモの取り方は、ライターによって十人十色です。いろいろなやり方があっていいと思います。なのでベストなメモの取り方は、存在しません。ただ、おすすめの方法はありますので、それをひとつに絞って紹介します。
「あとでメモをみて自分がわかるように書く」。
ただ、筆者の場合、これをもう一歩押し進めています。それは「文章で書く」「ストーリーで書く」という方法です。おおくの駆け出しライターさんが一度は経験したことがあると思います。メモはおおくの場合「箇条書き」です。
その箇条書きをしばらくして読み返してみたとき、メモした自分でも、意味がわからない場合があるのです。
もちろん思い出せる記憶力をもっている優秀な方は、箇条書きでかまいません。ですがふつうの人なら、多少面倒でも「ストーリー書き」したほうが、記憶に残りやすいのです。
みなさんは、記憶術の本やテレビ番組をみたことがありますか。
1秒間だけ「猿・ソファ・鳥・テレビ・イヌ・テーブル」が一緒になった絵をみせられて、すぐに全部答えろというような方法ですね。高齢者なら3つもでてきません。でも動物と家具というように分けて、動物は桃太郎だなとかストーリーにしてしまえば、覚えやすくなるというわけです。
メモは箇条書きよりストーリー、がお勧めです。これに付随するメリットがひとつあります。もう一度録音データを聞かずにメモ書きをみれば済むことです。
ただ、ストーリー仕立てのメモ書きは、少々時間をとられるのが難点です。メモとりに集中してしまい、対象者との会話をおろそかにしないよう、注意してください。
メモをとる道具は、手書きor パソコンの2つがあります。どちらでもかまいませんが「早いほう」を選択しましょう。何かと便利です。筆者はブラインドタッチなので、パソコン派です。
3.取材記事執筆のコツ
以上で準備編は終わりました。ではいよいよ記事執筆の具体的方法について述べていきます。取材記事には3つの型があることを覚えてください。1)会話型、2)一人称型、3)三人称型です。「型を気にせず、適当に書いてしまえ」というのはよくありません。
型が曖昧な場合、執筆開始前に、かならず確認しましょう。記事の「最終責任者」に尋ねておくことをおすすめします。もしあなたがインタビュー取材記事の「発注者」側であるなら、ご自身で決めてライターに伝えなければなりません。
もし意図しない型の記事ができあがってきたら、書き直しの指示をしなければならず二度手間になりますから。
この3つの型は「どれがよくて、どれが悪い」という優劣はありません。載せる媒体、読者層、目的によっての使い分けが大切になります。ここではその手助けとなるそれぞれの特長について述べさせていただきます。
1)一人称型
取材対象者が「話し手」となり、一人語りで話し続けるタイプの文章形式です。よって、取材対象者の性格や考えが読者にストレートに響きやすいというのがメリットでしょう。ただし1)と3)に比べてライターの考えや意見などを挟み込んだりして、文章のテンポをつくりにくいというデメリットもあります。
3つの型のなかで基本となる型です。インタビュー経験が豊富でない場合、こちらの型がおすすめとなります。なお、文末は「です・ます」調になります。
2)会話型
インタビュワー(聞き手or ライター)とインタビュイー(話し手or 取材対象者)の質問と答えが順にいれかわる文章形式です。メリットは、実際の取材現場のようなライブ感が出ること。また、必然的に一文が短くなるので、記事の読者がリズムにのってスラスラと読み進められやすいことです。
この型は、学術系、ビジネス系の専門記事などにおいても、難しい専門用語をやさしく伝えやすい形式としてしられています。
執筆経験のすくない人から「わたしが質問をしてないのに、実際にしたような文章を書いて大丈夫でしょうか」という質問をうけることがあります。大丈夫です。構成上ゆるされます。
インタビューの際、スラスラと話者が答えてしまって、じっさいにあなたが質問していなくても、質問として文章を作成してください。そこに厳密さは必要はありません。
1)型からは難易度がすこし高くなります。インタビュワーの知名度がある程度、高い場合にもお勧めです。対談記事にも適しています。なお、文末は「です・ます」調になります。
3)三人称型
「ライターが取材をした感想を書いた」という体の文章です。ただ、ライターが書きますからすべての文での主語はライターである「わたし」となります。その「わたし」がすべてカット、省略された型だということです。
メリットは3つ。記事に客観性がでることと、話者本人の責任の負担が減ること、ライターの考えや意見を挿入できること、です。もし仮にあとになって「記事中にインタビュイーにとって都合の悪いこと」が書いてあったとしても、「ライターが書いた」と言い訳が通用します。
ですから俗にいう「偉い人」の記事に適しています。ただそれに伴う短所もあり、固くよみづらい文章になったり、性格や人柄までが読者に理解しづらくなることもあります。
よって、どちらかといえば、プロのライター向けの型となります。なお、文末は「です・ます」調もしくは「だ・である」調どちらでもかまいません。
取材後、録音データを聞きながら、その音声データをすべてテキスト化することを文字起こしといいます。する場合、しない場合の2パターンがあります。どちらにもメリットとデメリットがありますので、挙げておきます。
専門的な内容、用語が多い取材の場合は、すべて文字起こしすべきです。文字起こしすると、聞き間違い、聞き逃しの両方を防ぐことができます。
デメリットは、時間がかかることでしょうか。1時間のインタビュー取材においては、インタビュイーは1分間に平均300字話しますから、300字×60分間=18000字の作業負担が発生します。ですから、文字起こしに2〜3日かかることになります。
ですから、納期がインタビューの2〜3日後と指定されるような場合、文字起こしをせずに、メモ書きを中心にすすめていきます。不明点などのみ、録音データを参照するというのが得策です。
文字起こしをしないメリットは、これらの逆となります。専門用語などが多用されず、インタビューの目的が、その人物の人柄や、それを表すようなエピソード中心であるならば、せずに進めてしまってもかまいません。
また、文字起こしをしないことによって先述したように、2〜3日の労力が省略でき、早めの納期に対応できるようになります。
文字起こしをする、しないは、内容の難しさや納期のながさによって、その都度判断するというのが、ただしいでしょう。当社にご依頼いただいた場合も、ライターがその都度、どちらの方法を選択するかを決めて執筆をはじめています。
なお。
最近では、オンライン文字起こしサイトが充実していますので、うまく利用すれば執筆時間を大幅に短縮できます。
いよいよ執筆のスタートです。「書き出しをどこから手をつけていいかわからない」「そもそも構成(話の順番)がきめられないから書き出せない」という人は多いはず。
そこで、書き出しはいかにすべきか、記事の流れ、構成をどのように成り立たせるのか、の両方を同時にご紹介できればと思います。
方法は3種類です。
1) 文字起こし原稿のまま清書していく。
2) トピックス毎に時系列順にならべかえる。
3) 自分がベストだと思う順序に従う
1)と2)が基本形本となります。未経験者や、初心者におすすめです。そのような方々は3)を採用してはいけません。
1)は、そもそも準備した質問項目は、構成を考えて、インタビュイーが話しやすい順になっているはず。なので、インタビューがその通りに進行していけば、その通りに書き出して、ラストまでもっていっていいでしょう。
取材のなかで1)の順番が乱れてしまって、話題が前後してしまったケースなどでは、2)を採用します。たとえば「社長の自分史紹介」記事だったとします。
これまでの社長としての苦労を半生とともに振り返る、というような記事です。自分史なのに、時系列順に並んでないのは違和感が生じます。
プロ向けの構成法が3)です。たとえば、「社長の自分史」のなかで、一番のターニングポイントから書き出し、それを現在の成功した状況などに結びつけていくやり方です。なお、随所に「読ませるテクニック」が必要となりますが、成功すればその効果は絶大です。
方法をひとつだけご紹介します。たとえば掲載すべき話題(トピックス)が5つあるとします。そのなかで、もっとも読者にとってオモシロイもの、驚くもの、を「書き出し」「冒頭」にもってくるのです。
読者は「ハッ!」とびっくりして読み進めてくれますから、掲載した「目的」は達せられることになります。読者はいつなんどきも、まじめであり「最後まで」読み進めてくれるとは限りません。
もしラストにいちばんオモシロイ話題を書いていたら、辿りつかない可能性もあるのです。
取材記事というのは、取材対象者の過去の経験や、蓄積された知恵が語られることになります。ですから、そのまま書けば、文末はすべて「〜でした」「であった」になってしまいます。文末の表現が単調になるとリズムがでず、すべて平坦で読みにくい文章となります。
では、どうすべきか。じつは、お手本はこのページの本文です(笑)。文末表現は多種多少になっていることにお気づきだと思います。読み返してみてください。長文なのに、飽きさせず、読み進めてもらえるテクニックが駆使されています。m(_ _)m
「〜でしょうか」疑問形
「ではありません。」否定形
「〜でしょう。」推定形
「〜なのです。」断定形 強調形
「〜してください。」命令形
文末表現にもじつに、さまざまな形があります。よい文章は文末によって決まる、といっても過言ではありません。できるビジネスマンは、いいクツを履いている、という比喩に近いかもしれません。
いくらよいスーツを着ていても、足元のクツが安物であったり、磨かれていなかったりすると、仕事ができる人にみえないのと同じです。
文末への一工夫をおしまない、のがプロのライターの心得、といえるでしょう。でも、プロにかぎらず誰でも実践できるテクニックです。
記事に「流れを出したい」という希望をよく聞きます。この「流れ」とは一体なんなのでしょう。文章に「流れ」を出すには、そうとうの修業が必要ですので、普通の人にはマネできません。そこで、すこしだけご紹介しておきます。
基本形でありかつ簡単に書けるのは、先述した「時系列」です。30歳のときに○○をした。31歳のときに△△をした。と書いていけば、自然な「流れ」を演出できます。
もうひとつが上級者のテクニックです。「結果」→「原因」の順に紹介していくと「流れ」がでるのです。A社長のインタビューにおいて「会社が過去最大の業績を上げた」→「社員が残業をいとわずがんばったから」「ダラダラ会議をやめたから」「新商品開発に成功したから」「功労者にむくいる給与体系をつくったから」というように、です。
そもそも人間の脳は、ストーリーというものを、原因と結果だけで判断しています。推理小説などもすべてそうです。「CがDを殺した」→「DはCに執拗な嫌がらせをしていた」「Cは幼いころ両親から虐待を受けていた」というパターンですね。
ストーリーとは、時系列だけではありません。原因と結果こそが「流れ」の正体です。その原因をいくつかあげていくなかでの順番やタイミングをじょうずに書いていくというのが、プロのライターなのかもしれません。
記事には、タイトル以外に「小見出し」をつけねばなりません。記事の種類によりますが、おおよそ200字〜800字毎に付けたほうがいいでしょう。平均で400字ほどですから、総文字数3000字の記事ならば、5〜8個ぐらいとなります。ただし一般的な決まりはありませんので、過去記事を参考にすればいいでしょう。
そもそも、なぜ小見出しは必要なのでしょうか。もし小見出しがなければ、どうなるでしょうか。小見出しのないベタッとした紙面を想像してください。読者は嫌気がさして読んでくれないでしょう。つまり小見出しの目的は、読み手に読む気を起こさせる役割があるということです。
じつは、多くの読者は「本文」を読む前にやっていることがあります。無意識のうちに、、です。それは小見出しや写真など、目に付きやすいところを、紙面全体を眺めるように見るという行為です。そこで、この記事は自分にとって有益なものであるかどうかを判断しています。
つまり。
小見出しは、それらを順に追っていくだけで、記事全体が理解できるように書く、というのが基本です。ただし、小見出しをうまく付けられるようになるには、ある程度の能力と、時間が必要です。ライターを本業とする人でも、2〜3年以上はかかります。初心者は奇をてらわず、その部分を要約している言葉をピックアップするように心がけましょう。
白紙の心で聞く
人の話を聞く時に、大切なことがあります。それは白紙の心で聞くということです。無心で聞くという行為は、99%の人ができていません。できていると思っているほど、できていません。人間、無意識のうちに、なにかしらの意図があって聞いているものです。
インタビュー時に起こりがちなのは「次はどの質問にしようか?」というように、意識が「先」に行ってしまうことです。「録音をあとで聞けば"同じ"だから、この場面はつぎの質問を何にするのかに集中しよう」というような意識です。
はたして録音を聞けば"同じ"なのでしょうか。話し相手は、あなたの「上の空状態」を見抜きます。このインタビュワー、わたしの話をよくよく理解してくれていない、別のことを考えていると。すると「ほんとうは、○○の話をしたかったけど、表面的な回答でいいや......」となるのです。
意識が先にいってしまう"上の空状態"とは、"いま""ここ"の状態ではありません。たとえるなら、歩きながら目的地に着いたときのことを考えている状態というのでしょうか。
「もうすぐレストランに到着する。カレーにしようか。オムライスにしようか」と。いま自分の目の前、足元に意識がないので、電柱に頭をぶつけたり、石につまづいたりします。
白紙の心で聞くと、自分の話があなたの胸にすーっと吸い込まれていくのを、相手は感じます。「わたしの話を理解してくれている」と嬉しくなって、もう一歩進んだ話題や、ほんとうの感情を吐露してくれます。
"録音を聞けば同じ"ではありません。話し相手の本質、心の奥底を理解して、その価値観を文章に表現できるよう心がけましょう。
みなさまとの出会いを心待ちにしております。
まとめ
インタビュー取材記事作成において、下準備、取材時の注意点、執筆時の工夫について述べさせていただきました。
プロのライターはさまざまなテクニックを駆使して取材および執筆という作業を実行していることよくおわかりいただけたのではないでしょうか。
当社では、ここまで述べたさまざまな方法により、インタビュー取材をすすめさせていただいております。もし、以上を読んでいただいて
「いくら努力しても、自分では書けないだろう」
「失敗してからでは、納期に間に合わない」
「プロのライターにお願いしたい」
と思われるならば下記からお申込、お問い合わせ、ご相談をください。
みなさまとの出会いを心待ちにしております。